症状
脾臓摘出の症例|巨大脾臓腫瘤
健康診断の腹部エコーで脾臓の腫大が認められました。
大きさは10cmとかなり大きく胃や腸を圧迫している様子が認められました。
この時点では、本人は今までと全く変わらず元気で、体調の異変は全くありませんでした。
CT検査により腹部の大部分を脾臓が占め、他の臓器を押しのけている状態だとわかりました。
今回の症例では低タンパク血症になっており、手術に対してリスクもあったが、
いつ破裂してもおかしくない状態であったため、オーナーとの相談により輸血の用意をした状態で脾臓摘出術に臨みました。
*手術時の画像がありますので、苦手の方はご遠慮ください。
開腹時すでに腹腔内に少量の血液の貯留が認められ、周りの大網という組織・脂肪組織とひどく癒着している状態でした
この状態からも長期にわたり微量出血や炎症が繰り返し起こっていたのではないかと思われます。
すでに出血が起きていたため、癒着は剥がさず、大網ごと摘出することにしました。
癒着がひどく非常に大変な手術でしたが無事終わり、3日入院した後、元気なまま帰ることができました。
開腹時の様子、巨大かつ癒着がひどく脾臓を体外に出すことすら難しい状態だった。
摘出後の脾臓、大網ごと摘出した。重さが800gにまで大きくなっていた。
腸管に白い筋が入っており、同時に低タンパク血症の原因もわかった。
病理検査の結果は「血腫」とのこと。
悪性の腫瘍では無かった。
しかし、良性なら取らなくていいというものではなく、
今回のように破裂する危険があれば、悪性でなくても摘出する必要があります。
今回のケースでは健康診断時のエコーでは血液の貯留は無かったが、手術時には少し血液貯留が認められたので、
健康診断時に気づかなければ、非常に危機的な状況になってしまっていたと思います。
毎年の血液検査だけでは発見できない病気はたくさんあります。
早期発見すれば助かる命もありますので、年に1度はドッグドックを受けることをおすすめします。